フリースクール森の学校の気まぐれ日報
5がつ26日くもり・にわか雨
登校:小学生1年から5年6名、中学生1名
サポーターさや姉、さくちゃん、あきくん、じいじ
あっという間に5月も終わり。
開校一番、サポーターのさくちゃんが台所で声をあげます。
「さや姉!ムカデですっ!」
シンクの中には、およそ12センチほどの立派なムカデがさわさわとうごめいています。
「おお~、これはでっかい、みんな~ムカデだよ~」
あんなに沢山足があるのに、シンクを上っては来られないのですな、安全を確認したところでせっかくだから観察。
「この時期になると出てくるよね、上から落ちて来たのかね」
「ムカデはね、気温が20℃以上に以上にならないと動かないんだよ!」
「湿気が多いと出てくるんだよ、うちにも出たよ」
みんな知っていることを出し合います。
「ムカデの足って何本あるんだろうね」
「百本だよ!だからムカデっていうんだよ」
「おお、物知り、じゃあ数えてみようよ」
「いち、にい、・・・・・・じゅうさんぐらい」
「あれ、百本なかったね」
「それぐらい多く見えるってことじゃない?」
「そうかもしれないね」
「ヒゲもあるし、とげもあるね」
「刺されると痛いんだよ!」
「なんで刺すんだろうね?」
逃がすために、透明なビニール袋の口を開けて投入。すんなり入ってくれると思いきや入り口で踏ん張ります。
「見て!足の先っちょに小さな爪がある!」
「ほんとだ!これがあるから引っかかるんだ!」
「足がさ、二つセットでバラバラに動いているのに、全然絡まないね」
ちょっとだけお腹にもぞもぞを感じながら、十分にムカデの複雑性を堪能し、畑にさようなら。
5月の最初までは登校者の少なかった森の学校も、だんだんとにぎやかになってきました。
「今日は誰が来る?」「〇〇や、△△が来るみたいだよ」「よっしゃ~、秘密基地つくろっ!」
誰かと一緒に何かをやることを楽しみにしている子もいれば、一人黙々と廃材工作を楽しむ子もいます。今日は、それぞれで遊んでいた子ども達が、レゴを使った遊びに一人、また一人と加わり、いつのまにか全員で街づくりを始めています。
登校予定の全員が揃ったところで、さや姉からお誘い。
「午後から梅もぎしたいんだけど、一緒にばあちゃん(サポーター)の梅畑に行かない?」保護者には前日のうちにお知らせしてあるので、長袖長ズボンと帽子手ぬぐいはそれぞれが持参してくれています。マイ梅入れを持ってきた子もいます。
にもかかわらず、「ええ~」と、全員からシブいお返事。
レゴ作りの手は休めずに、「え、行く?」「どうする?」と探り合い、一人が「行きたくな~い」と言えば、「オレも~」「やっぱりやめとく~」と次々にお断りが入ります。
ですよね~、伝えるの今じゃなかったですよね~、よし後でもう一度声をかけてみよう・・・・
10時前に、恒例の「お腹空いた~」コールが始まり、次々と弁当箱を広げます。食べ始める子に釣られて、実はまだそんなにお腹が空いていない子も食べ始めます。「後でまたお腹が空くかもしれないから、半分取っておいた方がいいよ」初めて早弁した子には、常連さんが技を伝授します。
早弁が落ち着いたあたりで、さや姉が2階から色々な形の籠やざるを持ってきました。
「何それ?」目ざとい子が気付きます。「ん~?もいだ梅を入れようかなと思ってさ」
きらきらんと子どもの目が動きます。
「オレ、やっぱり梅もぎ行こうかな」
「お~、じゃあ、かごも持ってく?どれがいい?」
「かごに紐つけてもいいの?」
「どんな風に?」
「こうやって背中に背負いたい」
「なるほど、いいね、紐をつける所は相談してくれる?重さがかかると折れちゃう所もあるからさ」
「分かった」
黙々と作業に励みます。
「よし、出来た!」紐の固定位置もばっちり、背負子にして歩いてみせてくれます。
「何それ」「作りたい!」魅力的な小道具が功を成し、やっぱり、梅もぎ行こうかな組が増えていきます。
採った梅で何を作りたいかという話が出ます。梅シロップを作りたいんだけどと伝えると、
「それってもしかして、かき氷にもかけられるやつ!?」と聞かれます。
「そうね、あとは、サイダーも作れるし、シャーベットも作れるかな」
「行くっ」
最後は「食い気」で全員参加が決まりました。動機ってとても大事ですよね。
秘密基地づくりが盛り上がっています。1階に作る場合は帰る時に解体、2階に作る場合は暑くなるまでは解体しなくていいという条件で、何日かかけて2階に作りはじめました。
資材を運ぶのに苦労しながら、見事な協力体制で作って行きます。工夫や思い入れの詰まった基地づくりには、仲間に入れる、入れないない問題も付きものです。
一緒に作った人達だけで楽しみたいという気持ちもあるし、仲間に入れてもらえないさみしさもあります。
「入れてって言ってるのに、入れてくれない!ダメだよって言ってよ!」と訴えにきた子がいます。
自分で何度も交渉に行き、その度に作り手達に「今はだめ」とか、「狭いから無理」と断られたようです。
「入れてくれないのって、ダメなことなんだっけ?」と聞いてみると、目を丸くしています。
「ぼくも入れてもらえなかった!」と憤慨している子がいたので、「二人で別の秘密基地を作るっていうのもいいんじゃない?」というと、いや、そういうことじゃない、あの秘密基地に入りたいんだと反対されます。「それにさ、同じ場所に秘密基地が二つあったら、それはもう秘密じゃないじゃん」とのこと、なるほど、おっしゃる通り。今後も秘密基地をめぐるやり取りは続きそうです。
午後の梅もぎは、薄曇りの涼しい風に吹かれながら。
到着早々、道を横切るキジと遭遇。子ども達の歓声を受けて、トットットッとすこし足早に茂みに去って行きます。
畑には鈴なりの小梅達。じいじ先生からハシゴの使い方と、木登りの注意を聞いて梅もぎ開始。
すいすいと木に登る子もいれば、慎重に慎重に進んでいく子もいます。
「自分の手と足と相談しながら登ってね、恐いと思ったら無理しないこと、同じ枝に二人一緒には登らないでね、大丈夫かどうか、足で試しながら進むといいよ」
ハシゴに上るのもおっかなびっくり、両手を外すまでも一苦労です。
ひとしきり採り終わり、飽きた子ども達は畑で遊び始めます。石垣からジャンプしてみたり、よじ登ってみたり、落ちた小梅を投げ合ってみたり。
大人は貪欲に採り続け、それぞれの籠が満杯になったところでおしまい。
最近使ってなかった腿の裏筋がだいぶ伸びました。
来週は6月2日(木)開校予定です。
*フリースクール森の学校は、学校を一休みしたい子の居場所です。
*毎週木曜日8時30分から18時まで。1日300円。
*見学をご希望の方はご連絡下さい。